
まず、提供されたスプレッドシートと元の記録を確認します。セル参照の間違いや表示の誤りを見つけるために、新たなデータ取得を実行する必要はありません。新しい観測記録が確認作業に必要な場合に限り、最新の公開件数を取得します。新たに取得した件数から、過去のセルに入るべきだった値を確定することはできません。
このガイドでは、シートの計算と参照元を確認します。すべてに共通するエンゲージメントの計算式を定めるものではありません。また、アクションの回数を、重複を除いた人数の割合に変換するものでもありません。
1. 結果を確認する前に、意図するルールを書き出す
まず、シートで何を明らかにしたいのかを明記します。その後、計算式を言葉で書き出します。
分子は、分数の横線より上にある数です。分母は、その下にある数です。比率は、ある数を別の数で割った結果です。パーセントは、その比率を100当たりで表したものです。
このガイドの計算例では、次のルールを使います。
`(likes + comments + shares) / views`
シートでは、結果をパーセントで表示します。これは、この例で使うルールです。すべてのTikTokレポートに適用するルールではありません。
次の情報を、シートに付記します。
- この率で何を明らかにしたいのか。
- 分子に含めるアクションの回数。
- 分母に使う件数の種類。
- 件数を取得した日時。
- 欠損した件数や丸められた件数の扱い。
- 保存する結果が、比率なのか、パーセントポイント単位の値なのか。
パーセントポイント単位の値では、パーセント表示に使う数値そのものを保存します。たとえば、数値の10は10パーセントポイントを表せます。比率として保存した0.1も同じ割合を表しますが、表示の処理を変える必要があります。
分母には特に注意が必要です。提供された資料にある計算式の違いに関する読者の公開質問(2025年5月12日投稿)では、フォロワー数と再生数のどちらで割るべきかを尋ねています。これは、スプレッドシートの問題を考える前に、定義を決める必要がある問題です。この記録が示すのは、読者1人の質問です。この問題がどの程度広まっているかは示していません。
分母の意味を決める必要がある場合は、既存のSNSの再生比率を定義し比較するためのガイドを参照してください。その後、ここでの点検に戻り、定めたルールに従っているかを確認します。結果がよく見えるという理由で分母を選ばないでください。
2. 元データの各フィールドからシートのセルまでをたどる
観測記録とは、明記した取得日時における投稿の1件の記録です。各計算式が、意図した観測記録を使っているかを確認します。
セル参照は、値の取得元となるスプレッドシートのセルを指定します。参照先が間違っていても、計算自体は正しく実行されることがあります。たとえば、明文化したルールでは再生数が必要なのに、フォロワー数を使っている場合です。
フィールドとセルの対応表を作成します。フィールドとは、元の記録にある名前付きの値です。対応表では、各フィールドをシート内の転記先に対応付けます。
| 保存する情報 | 確認すること |
|---|---|
| 投稿の識別情報 | 元データとシートが同じ投稿を指している |
| 投稿URL | リンク先が意図した投稿である |
| 取得日時 | 件数が意図した観測記録のものである |
| 元データのフィールド | 件数がルールで必要とする意味を持つ |
| 元の値 | シートが提供された値を保持している |
| 転記先のセル | 計算式が意図したセルを使っている |
| 値の有無 | 件数の値があるか、取得不可か |
| 精度 | 件数が正確か、丸められているか、不確かか |
| 根拠の参照先 | 別の確認者が元の記録を見つけられる |
修正した値の横に、元の値も残します。シートが受け取った値の唯一の記録を上書きしないでください。
数値を比較する前に、投稿の識別情報を確認します。別の投稿の件数でも、妥当に見えることがあります。日時も確認します。計算の点検中に、過去の元データの値を現在のフォロワー数へ無断で置き換えないでください。
アカウント所有者だけが利用できる記録を使う場合は、その旨を明記します。これは、公開ページではなく、アカウント所有者が利用できる記録です。その意味と集計対象期間を確認できるようにします。ラベルが似ているという理由だけで、公開カウンターと所有者限定の記録が同じものを測っていると考えないでください。
3. 公開データの観測記録が必要な場合に限りActorを使う
まず、スプレッドシートを手作業で確認します。新しい観測記録が必要な場合は、TikTok Metrics Scraperで、仕様に記載された公開データのフィールドを取得できます。Actorとは、ホスト環境で動作するデータ収集プログラムです。ここで説明する計算式の点検や、修正履歴の作成は行いません。
提供されたビルド0.1.36の公開仕様には、`mode`を`knownUrls`に設定し、`startUrls`から動画を直接指定する入力方法が記載されています。次の小さな入力例は、仕様に記載された構造を使っています。
{
"maxItems": 1,
"mode": "knownUrls",
"startUrls": [
"https://www.tiktok.com/@mrbeast/video/7654638524729216287"
]
}サンプルURL全体を、対象とする公開動画のURLに置き換えます。サンプルのアドレスは、クライアントのスプレッドシートの根拠にはなりません。`maxItems`は出力行数を制限します。この例の上限は1行です。投稿1件のサンプルは、アカウント全体の完全な保存記録ではありません。
これは、データ取得に使う入力の提案例です。このガイドのための実行は行っていません。提供された公開ビルド仕様(2026年10月25日確認)から確認できるのは、記載された入力と出力フィールドです。データ取得の成功を確認したものではありません。
仕様に記載された有用なフィールドには、次のものがあります。
- 投稿の識別に使う`postId`と`postUrl`。
- 取得日時を示す`scrapedAt`。
- この例の計算式で使う`likes`、`comments`、`shares`、`views`。
- 各指標の値の有無と精度を示す`postMetricStatus`。
- 記録の状態とその説明を示す`status`と`statusReason`。
- 定めたルールでフォロワー数が必要な場合に使う`profileFollowersCount`。
指標とは、測定した件数や値です。精度は、報告された値が実際の件数をどの程度正確に表しているかを示します。`postMetricStatus`内で、仕様に記載された`status`の値は、`present`、`unavailable`、`not_attempted`です。仕様に記載された`precision`の値は、`exact`、`display_rounded`、`likely_rounded`、`unavailable`、`unknown`です。
数値だけで品質を判断せず、これらのフィールドを確認します。公開仕様では、指標の欠損値として`null`を認めています。これは、値が提供されていないことを意味します。また、可能な範囲で公開プロフィール情報を補完する処理も記載されています。公開件数から、非公開のリーチや、反応した人の重複を除いた人数を確定することはできません。
Taskとは、保存済みの入力設定です。提供された根拠から、TikTok Creator Analytics Taskのページが2026年10月25日に公開されていたことは確認できます。認証済みアカウントから保存済み設定を確認しておらず、Taskも実行していません。その保存済み入力が、今回の確認作業に合うとは限りません。
4. 分子に必要な各項目を確認する
アクションの回数を合計する前に、それぞれを確認します。定めた計算式には、いいね数、コメント数、シェア数が必要です。分子を完全にそろえるには、3つすべてに使用可能な値が必要です。
欠損値はゼロではありません。ゼロは、記録された件数がゼロであることを示します。元の値が空欄や`null`の場合、その件数は提供されていません。
スプレッドシートの合計計算では、空のセルを無視して数値を返すことがあります。しかし、数値が返るからといって、必要な分子がそろっているとは限りません。合計だけでなく、内訳のセルも確認します。
結果の横に、状態を明示します。
| 元データの状態 | シートでの扱い |
|---|---|
| 必要な件数がすべてそろい、正確である | 分母を確認してから計算する |
| 必要な件数が欠損している | 求める結果を算出不可と記す |
| 必要な件数が丸められている | その制約を残し、計算結果を概算と記す |
| 件数の精度が不明である | 不確かであることを明示する |
| 記録された件数がゼロである | 提供された値としてゼロを保持する |
これらは、ワークシートで使うルールの提案です。Actorの追加出力フィールドではありません。
フィールドがあるという理由だけで、保存数や再投稿数を加えないでください。加えると、定めた計算式が変わります。クライアントが別のアクション指標を必要とする場合は、別途定義します。その選択については、シェア数と保存数をコンテンツの判断に使うためのガイドで説明しています。
単位を明確にします。いいね数、コメント数、シェア数は、アクションの回数です。その合計は、重複を除いた人数ではありません。計算を点検しても、この制約は変わりません。
5. 分母、値の型、保存値の単位を確認する
分母の数値を確認する前に、元データのフィールドを確認します。このガイドの例のルールでは、分母は`views`でなければなりません。割り算の結果が妥当なパーセントに見えても、フォロワー数を使うと、このルールに反します。
次に、以下の状態を確認します。
- 分母が欠損している:結果を算出不可と記します。
- 分母がゼロである:ゼロで割った結果は定義されないため、比率を未定義と記します。
- 件数が文字列として保存されている:計算前に、元の値と、意図する数値を確認します。
- 分母が丸められている:計算する場合は、結果を概算として扱います。
- 観測記録が間違っている:再計算する前に、意図した元データへの参照に戻します。
値の型は、セルに数値、文字列、または別の種類の値が入っていることをシートに伝えます。件数が数字に見えても、シートでは文字列として保存されていることがあります。見た目だけで判断せず、型と元データを確認します。
件数の省略表示も、元データの正確な件数とは異なります。丸められた公開表示を、説明なく正確な整数に変換しないでください。根拠から概算の件数しか得られない場合は、その制約を結果の横に残します。
次に、パーセント表示とは別に、保存されている結果を確認します。表示形式は、保存された数値の見せ方を変えます。保存された数値が意図した単位になっていることを保証するものではありません。
通常のパーセント表示では、比率を保存します。以下の計算例では、0.1を保存し、10%と表示します。先に比率を100倍してからパーセント表示を適用すると、倍率を二重に適用することになります。
保存された値を直接確認します。パーセント表示のスクリーンショットだけでは、計算式が正しい参照元のセルや単位を使っているかは分かりません。
6. 計算例を手計算する
独自に作成した架空の例です。この計算例にある値とスプレッドシートの誤りは、すべて架空のものです。製品の実行結果や、実在するクリエイターの結果ではありません。
架空のシートに明記したルールは、`(likes + comments + shares) / views`を計算し、パーセントで表示することです。
| 件数の種類 | 架空の元データの値 | 計算での役割 |
|---|---|---|
| いいね数 | 90回のアクション | 分子の一部 |
| コメント数 | 10回のアクション | 分子の一部 |
| シェア数 | 0回のアクション | 分子の一部 |
| 再生数 | 1000回の再生 | 分母 |
| フォロワー数 | 500人のフォロワー | この計算式の対象外 |
まず、分子を計算します。
90 + 10 + 0 = 100回のアクション。
次に、ルールで定めた分母で割ります。
100 / 1000 = 0.1。
保存される比率は、再生当たり0.1回のアクションです。パーセント表示を適用すると、シートには10%と表示されます。これは、重複を除いた視聴者の10%が反応したという意味ではありません。
次に、間違った分母を使った場合を確認します。
100 / 500 = 0.2となり、20%と表示されます。
この計算では、フォロワー数を使っています。再生数を使うという、このシートに明記したルールに反しています。あり得る割合に見えるからといって受け入れず、セル参照を修正します。
次に、表示の誤りを確認します。計算式で0.1を100倍すると、10が保存されます。そのセルにパーセント表示も適用すると、1000%と表示されます。10%と表示するには、0.1を保存します。
最後に、同じ架空の例にある、値がそろっていない行を確認します。この行には、いいね数40、コメント数不明、シェア数0、再生数1000が入っています。必要な分子がそろっていません。不明なコメント数をゼロとして扱うと4%と表示されますが、その結果は明文化したルールを満たしません。結果を算出不可と記します。
したがって、必要な対応は明確です。分母の参照先を修正し、保存する比率または表示を修正します。値がそろっていない行は、算出不可のまま残します。これらの修正で確認できるのは、シートの計算です。視聴者の質に関する主張を裏付けるものではありません。
7. コピーした計算式を確認し、修正履歴を保存する
最初の行が正しくても、コピーした計算式が正しいとは限りません。計算式を入れた各範囲の先頭行と末尾行を確認します。データを挿入した箇所、計算式を変更した箇所、欠損値がある箇所の前後の行も確認します。
確認する各行で、計算式がその行の意図したセルを使っているかを確認します。移動すべき参照先が別の行に固定されたままになっていないかを調べます。また、定めたルールでは固定すべき参照先が移動していないかも調べます。
計算式と結果の両方を比較します。表示されたパーセントが一致していても、参照元が異なることがあります。
次の項目を含む修正履歴を残します。
| 履歴の項目 | 保存する内容 |
|---|---|
| 行と投稿の識別情報 | 対象のシートの行と元の投稿 |
| 修正前の計算式 | 修正前の式 |
| 修正前の保存結果 | 表示形式を適用する前の数値結果 |
| 修正前の表示 | 読み手に表示されていた内容 |
| 満たしていなかったルール | そのセルが満たしていなかった具体的な要件 |
| 修正後のルールまたは計算式 | 意図する計算と参照先 |
| 根拠 | 元データのフィールド、値、日時、精度 |
| 修正後の結果と状態 | 修正後の値、算出不可、または未定義の状態 |
| 確認者 | 修正内容を確認した人 |
値が変わった理由を記録します。確認者が、計算式の修正と、新たに取得した観測記録への更新を区別できる必要があります。
計算条件を満たす行だけを再計算します。値がそろっていない行は、理由とともに見える状態で残します。注記なしに空欄をゼロへ置き換えたり、該当する投稿を削除したりしないでください。概算の結果は、再計算後も概算として扱います。
シートで複数の投稿やアカウントをまとめている場合は、その集計を別途確認します。各行の計算式が正しくても、全体の集計結果が正しいとは限りません。
8. 明確な確認項目に基づいてシートを受け入れる
次の確認項目を満たしたら、修正済みのシートを受け入れます。
- 意図する分子、分母、表示方法が明記されている。
- 確認した元の記録が、意図した投稿と取得日時に一致している。
- 必要な件数について、欠損の有無と精度の情報が保持されている。
- 手計算の結果が、保存された比率と表示されたパーセントに一致している。
- 必要な値が欠損している場合、結果が算出不可のままになっている。
- 分母がゼロの場合、結果が未定義のままになっている。
- コピーした計算式が、正しい元データへの参照を保持している。
- 修正履歴に、各変更の説明がある。
確認した範囲を明記します。一部の行を選んで手計算した場合は、その行を明記します。その抜き取り確認を、すべての結果を手作業で確認したかのように説明しないでください。
結論は、根拠が示す範囲にとどめます。TikTokの偽フォロワーに関する主張を検討するガイドでは、公開データの比率が低くても偽フォロワーの証明にはならない理由を説明しています。スプレッドシートを修正しても、スポンサー施策の投資収益を予測できるわけではありません。
出典と参考資料
著者 Chronometrica · 更新日
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